音楽の島 特設ページです。
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音楽の島 / 創
1.森の夜明け Dawn in the Forest
木の実や動物の爪を束ねて吊るした楽器を「チャフチャス」といいます。
実は、自作楽器の中で最も簡単にトライできるのがこのチャフチャスです。
なんでもぶら下げれば音が鳴りますから…
色々なものを試すうちに、不思議と「森の音」が作れることに気が付きました。
スジャータの容器やカプセル、貝殻で木の実。
鉛筆や爪楊枝で枝。
小さなダブルクリップや錠剤の薬包で葉。
ストローで水音を作ることができます。
こういったものを何重にも組み合わせ、バードコールや口笛の鳥と合わせて森ができました。
余談ですが、実は本物の森の音を録音するのは結構難しいのです。
強く吹く風の音や、車や飛行機のエンジン音が入りやすいため、よほどの山奥で条件が揃わないときれいに録れません。
メロディは引き出しピアノでシンプルに弾いてみました。
ゆっくりと体を伸ばすような目覚めのイメージです。
2.ガイド The Guide
「一人でイチからやってみよう」と考えついたとき、初めに生まれたのがこの曲でした。
見たことのない景色の中へ踏み込んでいくような、未体験の中へ皆さんを案内するようなワクワクした気持ちで作りました。
エアコークのクリアなメロディに、軽快なバケドとマラカスのリズム。
アルミ琴とオルガンでハーモニーを、低音がブンブン鳴っているのは定規です。
さらにうねるショエリドゥの音も入ってくる…という妙な取り合わせですが、とても気に入っています。
五拍子のリズムはとても美しく感じます。
この曲では3-3-2-2の流れがずっとありますが、もっと一般的に使われてもいいんじゃないかなと思っています。
3.龍宮 Ryugu
効果音について調べていくと、必ず歌舞伎にたどり着きます。
雷車、雨うちわ、赤貝の蛙、きしみなど独創的な装置がはるかな昔から使われていたのが面白くてたまりません。
そんな中でも「波ざる」は特に有名です。大きなかごに大豆を入れて転がすと波の音に聞こえる。
これを自分なりに工夫して、ダンボールの中にタピオカや米を入れたり、お盆を応用して「ザー盆」を作りました。
音源では少しリバーブを足しているくらいですが、波の音に聞こえるでしょうか。
メロディは琉球音階のエアコークです。たった9音しか使っていません。
龍宮城を取り巻くサンゴや、色彩豊かな調度品をイメージして演奏してみました。
冒頭で出てくる実在しない鳥の鳴き声はペットボトルのキャップで作った鳥笛。
中盤で出てくるキラキラしたチャイムは、大きな空き缶に長ネジを取り付けたものを鳴らしています。
4.未知の青 Unknown Blue
かなり変わった音階楽器、断熱琴が登場します。
家の床下や壁に使われている断熱材「スタイロフォーム」は実はとてもいい音がします。
なんともいえないトロピカルな雰囲気です。
細長く切って、端を叩くという変な素材です。中央は音がしません。
そのため、楽器制作時も設計に苦しみましたが面白いものに仕上がりました。
未知の青というタイトル…初めてこの曲を作ったとき、「青い色の楽器縛り」をしていました。
断熱琴、ブルーシートを使った太鼓とオルガン、ビー玉という構成でした。
今回の録音では青い色縛りは外してしまいましたが、当初のイメージを捨てきれず同タイトルにしました。
リズムにも色々工夫があるので、興味のある方は分析してみてください。
5.洞窟の街 The Cave
ブルーマンで有名な創作楽器、塩ビ琴が登場します。
塩ビ管は調達しやすく調律しやすく、音量も出て楽器にとても向いた素材です。
私が作ったものは長さを調整できるパーツを追加し、季節(気温)によっても動く音程を微調整できるようにしました。
メロディのイメージはレトロRPGです。私が子どものころはスーパーファミコンでしたが、音楽に心を踊らせたゲームが数多くあります。
あの頃のワクワク感を思い出しながら楽しく録音しました。
バケツドラムのバケド、鍋蓋を重ねたクラップシンバルにリバースシンバルのようなバネ缶。
ドラムっぽいものを生楽器で作るというのもテーマの一つでした。
ズバッと切り込んでくるバケドのフィル、ビー玉の裏打ちがお気に入りです。
6.ぽつぽつ Potsu Potsu
雨の音が好きという方は多いですね。
楽器の世界で雨の音…というとレインスティックが登場することが多いですが、構造上どうしても途中で音が途切れてしまいます。
そこで、自転車のホイールを使った「レインホイール」、ウクライナのストルモックに影響を受けた「木桶のスイシャ」など、自作の雨音楽器をいくつか組み合わせて途切れない雨を作ってみました。
メロディ楽器は三種類。
アルミ琴が全体を支え、透明感を作り出しています。
細い塩ビ管を叩く「SPOT」は少し電子音のような雰囲気もある異質な音。
カエルの鳴き声のようなものはラップの芯で作った「ケロフォン」です。
7.虹 Eight color Rainbow
雨上がりの虹をイメージしながら作りました。
メロディはエアコークと長ネジ琴。
長ネジ琴は、バネワッシャーを付けて叩くと鈴のような音がします。
光を感じる音とは何だろう…と考えながら行き着いたのがベル缶というハンドベル型の空き缶楽器です。
使い所が結構難しいのですが、重ねると荘厳な雰囲気を作ることができます。
なんとなく、(人は住んでいない島だけれど)「石堂の中からのぞく虹」というイメージがあったので全体的にリバーブが深めです。
8.陽炎 The Nostalgia
なぜだか覚えている子供の頃の印象的な記憶が、夏の神社へ続く道です。
圧迫感のある蝉の大合唱、揺らぐアスファルト、乾いて張り付く喉…
そんな様が音で作れないかと思い挑戦してみました。
蝉の声は全て口で作っています。「シー」と空気を出しながら、唇を手で持ってびよびよと伸ばすと完成。
ノスタルジックなメロディはリコーダーオルガンです。
結構癖のあるエフェクターをかけて揺らがせています。
皆さんも子供時代に戻れたでしょうか。
9.コナーロ Conalo
木の実をイメージした楽曲です。
見たこともない木の実には聞いたことのない名前をつけよう、そうして生まれたのがコナーロ(造語)です。
サンバのリズムを自分なりに再構築してみました。
ずんずん来る低音は、タイヤにブルーシートを張ったもの。
ジョウロをタム代わりにしたり、木桶から作ったタンバリンを叩いたり
とにかく多種多様な太鼓を重ねています。
途中の長大なリズムキメは趣味です。
10.蝶 Butterfly’s Flight
優しくまろやかな音、すうっと空気中に消えゆく儚いガラス琴が登場します。
解体中の古い家からもらってきた模様入りガラスをカット、制作に一ヶ月以上かかる過去一番大変な楽器でした。
作曲する際には自分には2つのやり方があり、鼻歌で直接作る場合と、歌詞を書いて音を当てる場合があります。
この曲は完全に後者で、実は歌詞があり歌ものにもなります。
せせらぎをイメージした谷の音は、ストローをメインに作っています。
水の音を水以外で作るというのは至難の業なのですが、なぜかストローを切って吊るすとせせらぎの音が生まれるのを偶然発見しました。
細いストローとタピオカストローでも音が違います。
11.熱風 Desert Wind
とても人気のある一曲です。
引き出しから作ったピアノ型の楽器を、「マカーム・ナワサル」というアラビアンな音階に調律して使っています。
どんな風に弾いても自動的にアラビアンな雰囲気になります。
こうやってスケールを簡単にいじれるのは創作楽器のいいところですね。
アボリジニの民族楽器・ディジュリドゥをハンズフリーで演奏できるよう改造した「ショエリドゥ」。
こちらは循環呼吸を使いながら長ーく吹いています。
細かく切りながらリズミックに演奏する奏法が多いのですが、個人的には長くうねらせてドローン的に使うのが最もかっこいいと感じています。
打楽器系もやや特殊です。
ペットボトルを使った2連のタム、鉄筋を曲げて作ったトライアングル、杖を改造したラガーフォン。
リズム自体はシンプルなのですが、こういった音色の楽器を組み合わせると異国感が出やすいです。
12.星座 Constellations
秋の夜の草原、焚き火をしながら空を見上げる—というイメージで作った曲です。
虫の無く声や草を渡る風、焚き火のかすかな音など聴こえるでしょうか。
(焚き火は、直接マイクに風を吹きかけてボーという音、パチパチパニックを口に入れた音などを組み合わせています)
冒頭のエキゾチックなメロディは、水を張った炊飯器の内釜です。
水が揺れることで音程も揺れ、不思議な世界が作れます。
アルミ琴のメロディが上下し、天高く浮かぶ星座を結びます。
実はこの曲は歌モノバージョンがあります。良かったら合わせて聴いてみてください。
13.珊瑚の見る夢 Coral’s Dream
水で濡らした手でこする楽器といえばグラスハープ。
他にも何か音の鳴るものがあるんじゃないか?ということであらゆるものをこすってみました。
そこでたまたま鳴ったのがエアコーク。
おお、弦楽器みたいな音!これは是非活かしたいと思って作ったのがこの曲です。
深夜の海底をイメージして、泡が立ち上る音は口で出しています。
深く沈み込むような太鼓はウォータードラム。大きな木のボウルを浮かべて、銅鑼用のバチで叩きます。
14.朝へと続く道 Another Day Begins
巡る一日、をテーマに曲を並べています。
夜から少しずつ空が明るくなってくるまさにその時間を切り取りました。
メロディは自転車型のハーディ・ガーディ。
普通は片手を回転に使うので、足で回せば両手が使えるのでは?という単なる思いつきから始まりました。
弦楽器は完全に未経験のところから作ったので、色々と無理くりなところもありますが…
弦をかき鳴らし続けるこの音が、なぜか自分の中で「道」を想起させます。
明るくも切ない、そんな繊細な色がアルバムの最後にぴったりかなと思っています。
